この記事では、体操教室ジムオルソの指導員が、バク転を成功させるためのコツをフェーズ別に解説します。「回転できない」「頭から落ちそうで怖い」といったつまずき別の直し方や、補助のやり方、何歳から練習できるかといった疑問にもお答えします。
先に結論をまとめると、バク転のコツは次の7つです。
1. しゃがむときに膝をつま先より前に出さず、重心を後ろに置く
2. 腕は「肩の高さ→頭より後ろ」へ、床を蹴る瞬間に合わせて振り上げる
3. 後ろではなく「斜め上」に、遠くへ高く跳ぶ
4. 空中では顎を引きすぎず、目線は手をつく位置へ
5. 手は「ハの字」、肘は伸ばしたまま肩でマットを押す
6. 膝を伸ばしきり、体を大きく伸ばして回転する
7. 着地は足裏全体で、膝をクッションにする
それぞれの詳しいポイントを、事前準備・基本のやり方・練習方法と合わせて見ていきましょう。
バク転を始める前に確認したい3つの条件
バク転は、思いつきでいきなり挑戦すると頭や首、手首を痛めるリスクの高い技です。ジムオルソでは、次の3つの条件がそろってから練習を始めることをおすすめしています。①ブリッジができる
バク転では、後ろに跳んだあと体を反らせて手をつきます。ブリッジができないと、この「反る」動きが再現できず、回転の途中で背中や腰から落ちてしまいます。頭を床から浮かせたブリッジが数秒キープできることが目安です。②壁倒立で体を支えられる
手をついた瞬間、腕には体重のほぼすべてがかかります。倒立姿勢で自分の体を支えられないと、肘が曲がって頭を打つ原因になります。壁倒立で10秒程度止まれるようにしておきましょう。③補助者とマットがある
慣れるまでは、必ず補助してくれる人と、体操用のマットが必要です。布団やカーペットの上では衝撃を吸収しきれません。自宅で練習する場合も、最初の数回は経験者の補助のもとで行ってください。バク転でけがをしないための事前準備
バク転は、事前準備を怠ったり慣れていないのに1人で行ったりすることでけがしてしまう可能性があります。そのため、バク転を行う際は、事前準備を怠らず、慣れるまでの間は補助要員を確保することがけが防止に必要不可欠です。動きやすい服装に着替える
バク転を行う際の服装は、動きやすいウェアを選ぶようにしましょう。おすすめなのは動く際、邪魔になりづらい半袖・半ズボンです。半袖・半ズボンでなくとも、伸縮性があり、体のサイズに合ったウェアであれば構いません。 ネックレスやピアスなどのアクセサリーはけがにつながりかねないため外し、ウェアも飾りがついていないシンプルなものを選ぶようにしましょう。けが防止のために準備体操をする
準備体操を十分に行い、けがのリスクを軽減しておきましょう。バク転は全身の筋肉を大きく使う技です。そのため、体が十分にほぐれていないと大けがにつながりかねません。特に念入りにほぐしておきたいのは、次の3か所です。・手首:手の甲を床につけ、肘を伸ばしたまま体重をかけて伸ばす。手首を回してほぐす
・肩・背中:四つん這いから腰を後ろに引き、腕を前に伸ばして肩まわりを伸ばす
・腰:ブリッジの姿勢で体を前後に揺らし、反る動きに体を慣らす
バク転では手首に全体重がかかるため、手首のストレッチは省かないようにしましょう。
慣れるまでは補助の人をつける
バク転時、サポート役がいることで安全安心に練習できます。バク転に慣れていない間は体の動きもぎこちなく、1人で行うとけがをしてしまう場合があります。また、バク転に恐怖心を感じてしまう子どももいるため、サポート役をつけて安全に練習を行いましょう。サポート役がいれば安心してバク転ができ、けがをするリスクも軽減できます。具体的な補助のやり方は、後述の「バク転の教え方・補助のコツ」で解説します。
バク転の基本的なやり方
バク転には、基本的な動作と順序があります。これらを理解しマスターすることでバク転を成功させる確率がアップするでしょう。まずは基本に沿って実践していくことがおすすめです。1.腕を前から下ろしながら膝を曲げる
はじめに腕を肩の高さ程度まで上げます。次に膝を曲げながら腕を下ろします。腕の位置は横から見たとき、床と平行になる位置を意識するとよいでしょう。このとき重心は後ろに置き、膝はつま先よりも前に出さないことを意識します。膝がつま先よりも前に出ており、重心が前にかかっている状態でバク転をすると、上手く回れず頭を打つ可能性があるため、注意が必要です。2.腕を勢いよく振り上げる
下げた腕を勢いよく上に振り上げます。振り上げる速度が遅いと上手く跳べません。そのため、勢いよく腕を振り上げることが大切です。また、振り上げる腕は頭より後方を意識しましょう。腕がしっかりと後ろまで振り上げられることで体が曲がりやすくなり、スムーズに回転できます。手の振り上げと同時に顎が上がると、ジャンプの途中で身体が反ってしまい、上手に回転することができません。3.後ろに向かって跳ぶ
メインであるジャンプは、遠くに向かって跳ぶことを意識しましょう。また、高さが足りないと上手く跳べないため、高く跳ぶことも意識するようにします。つま先で床を押し上げ、足は真っ直ぐ伸ばすことが上手く跳ぶコツです。また、回転したあとに倒立するために、回転中は体を大きく伸ばしましょう。4.肘を伸ばした状態でマットに手をつく
回転し終えたら、マットに手をつきます。その際、肘は真っ直ぐに伸ばしておくことできれいな倒立姿勢が取れ、着地もきれいに決まります。手をつく直前は、目線を手をつく位置(マット)に向けます。目線が定まると手をつく場所が安定し、肘も曲がりにくくなります。5.マットを手で押して着地する
回転後、着手する際は指や腕にけがをしないよう、指の向きや腕の使い方を意識するようにしましょう。着手時は指を内側にし、八の字をイメージして着手します。着手したら肘は伸ばしたままマットを押し出すようにして回転し、再度着地します。 マットを押し出す際は手の力ではなく、肩から力を入れて押し出すことがポイントです。また、着地時に膝が伸びたままだとけがする恐れがあるため、足の裏全体で着き、膝を曲げて着地するようにしましょう。
バク転を成功させるためのコツ7選
バク転の基本的なやり方を理解しても、上手くできないことがあるかもしれません。その原因には、体の使い方や跳ぶタイミングなどが関係しています。ここでは、ジムオルソの指導現場でも特に効果が出やすいコツを、「踏み切り」「空中」「手つき」「着地」のフェーズ別に7つ紹介します。基本的なやり方でやってみても上手くいかない人は、バク転を成功させるためのコツを知ることでバク転ができるようになるかもしれません。【踏み切り①】踏み込むときに膝が前に出ないよう意識する
ジャンプするため腰を下ろした際、膝はつま先よりも出ないよう意識しましょう。ジャンプする際、膝がつま先よりも前に出ていると重心も前にかかります。このような状態では、後ろにジャンプすることが難しい上に高くジャンプできないため、膝はつま先より前に出さず、重心は後ろにかかるよう意識する必要があります。【踏み切り②】腕の振りと跳ぶタイミングを合わせる
腕を振り上げるタイミングは、ジャンプする瞬間に合わせることで高くジャンプできるでしょう。その際、腕はしっかりと振り上げ、頭よりも後方まで上げることがポイントです。また、重心はジャンプ前同様、後ろにかかっていることを意識しておきます。このようなポイントを押さえることで、高さのあるジャンプが習得可能です。【踏み切り③】真後ろではなく「斜め上」に跳ぶ
「後ろに跳ぶ」と意識しすぎると、真後ろに倒れ込むような跳び方になり、手をつく前に背中から落ちてしまいます。目安は、跳ぶ前の立ち位置から自分の身長の半分〜3分の2程度後ろに手をつくイメージです。高さと遠さの両方が必要なため、「上に跳んで、そのまま後ろへ弧を描く」と意識すると、自然に斜め上の軌道になります。【空中①】跳んだあとは膝を伸ばす
ジャンプ後、膝を伸ばしきることが高くジャンプするためのポイントです。ジャンプする際、膝が曲がっていると、高くジャンプできません。これはバク転ではなく、後方に倒れるような動きとなってしまいます。また、バク転の起き上がりには背中を反らせた反動が必要であり、膝を伸ばしきると背中も反らせやすくなるため、成功確率アップにつながります。【空中②】顎を引きすぎず、目線は手をつく位置へ
怖さから顎を引いて頭を丸めてしまうと、体が「く」の字に縮こまり、回転が止まって背中から落ちやすくなります。反対に顎を上げすぎるのもNGです。空中では頭を自然な位置に保ち、目線だけを「これから手をつく場所」に送るようにしましょう。目線が先に手をつく位置を捉えていると、手が正確な場所に出て、肘も伸びた状態で着けます。【手つき】手は「ハの字」、肘は伸ばしたまま肩でマットを押す
手をつくときは、両手の指先がやや内側を向く「ハの字」にします。指先が内側を向くと肘が外に逃げにくくなり、肘をクッションのように使えるため、手首への衝撃を和らげられます。手をついたあとは肘を曲げずに、肩でマットを突き放すように押すと、上体が起きて足が着地に向かいます。手の力だけで押そうとすると肘が曲がり、頭を打つ原因になるため注意しましょう。【着地】足の裏全体で着き、膝をクッションにする
足からの着地では、つま先や踵だけで着かず、足の裏全体でマットを捉えます。膝は軽く曲げて衝撃を吸収し、上体は起こしたまま。膝が伸びきった着地は膝や腰を痛めやすいため、「そっと着く」を意識しましょう。着地でふらつく場合は、手つきの際の突き放しが弱いことが多いので、ひとつ前のフェーズを見直してください。バク転ができない原因と直し方
やり方を理解しても、実際にやってみると特定の失敗パターンに陥ることがよくあります。ジムオルソの指導現場で多い4つのつまずきと、それぞれの直し方をまとめました。回転せず、背中や腰から落ちてしまう
原因は「真後ろに跳んでいる」「腕の振りが弱い、または頭より後ろまで振れていない」「膝が伸びきっていない」のいずれかであることがほとんどです。腕を頭より後ろまで振り上げるだけで回転が生まれるケースが多いので、まずは補助者に腰を支えてもらいながら、腕を大きく振る動きだけを繰り返してみましょう。頭から落ちそうになる・肘が曲がる
手をついたときに肘が曲がるのは、倒立で体を支える筋力が足りていないか、目線が手をつく位置に向いていないことが原因です。壁倒立の練習に戻り、10秒以上キープできるようにしましょう。同時に、手をつく直前に「マットを見る」ことを意識すると、手が正確な位置に出やすくなります。手がつけず、そのまま尻もちをつく
跳ぶ高さが足りない、または恐怖心で体が縮こまって反れていないパターンです。ブリッジで「反る」動きに体を慣らし、次項の恐怖心の克服法もあわせて試してみてください。補助者に腰を持ち上げてもらい、手をつくところまでの軌道を体で覚えるのも有効です。膝が前に出て前に跳んでしまう
しゃがむときに、膝がつま先より前に出ている状態です。重心が前にかかっているため、後ろにも上にも跳べません。「後ろの椅子に座る」ようにお尻を引いてしゃがみ、その姿勢からジャンプする練習を、まずはバク転をせずに繰り返しましょう。「後ろに跳ぶのが怖い」恐怖心を克服する方法
バク転が難しいと感じる最大の理由は、体力や柔軟性よりも「後ろに跳ぶ恐怖心」です。怖さがあると体が縮こまり、正しいフォームが取れなくなるため、結果としてさらに失敗しやすくなります。恐怖心を減らすためには、次の3つが効果的です。段階練習で「後ろに倒れる感覚」に慣れる
ブリッジや、補助者に支えられての後ろ跳びなど、跳ばない練習から少しずつ後ろに倒れる感覚を積み重ねます。急がず、できる段階を確実に増やすことが近道です。補助者に「絶対に落とさない」状況をつくってもらう
腰と膝裏をしっかり支えてもらい、失敗しても安全だとわかる環境で回ってみることで、「意外とできる」という成功体験を得られます。成功のイメージを繰り返す
お手本動画を見て動きを頭の中で再生し、「腕を振って、斜め上に跳んで、手をついて、押す」という流れを言葉にしてから跳ぶと、体が動きやすくなります。恐怖心は根性で乗り越えるものではなく、環境と段階練習で減らしていくものです。1人で無理に跳ばないようにしましょう。
【段階別メニュー】バク転の練習方法
バク転の基本的なやり方やコツを理解したら、さっそく練習に取り組んでみましょう。しかし、いきなりバク転をやってみても上手くいかないこともあります。バク転から練習するのではなく、段階を踏んだ練習を行うことがおすすめです。バク転に必要な動きや体の使い方をマスターすることで、バク転の成功率アップにもつなげられるでしょう。STEP1:ブリッジの姿勢でバク転の感覚をつかむ
ブリッジはバク転のように跳ぶ動作はありませんが、動きが似ているため、習得しておくとバク転をやる際に役立ちます。ブリッジの後方に体を反らせて倒れる動きは、バク転にも必要な動作です。 そのため、ブリッジで後方に倒れる感覚をつかんだり、体の柔軟性を高めたりしておくことで、バク転時にも同様の動きができるでしょう。また、ブリッジで後方に倒れることに慣れておくと、バク転時の恐怖心を払拭できるメリットもあります。慣れてきたら、立った状態から補助者に腰を支えてもらい、後ろに反ってブリッジになる「立ちブリッジ」にも挑戦してみましょう。STEP2:壁倒立で身体を支えられるようにする
倒立はバク転の際、着地時に必要な姿勢です。そのため、壁倒立で体を支えられるようにしておくと、ジャンプ後の着地がきれいに決まります。壁倒立を練習すると、倒立時のバランス感覚や筋力の向上、さらには重心のかけ方などを習得できるため、バク転の着地時にも役立ちます。このとき、両手の間を見る癖をつけておくと、バク転で手をつく際の目線づくりにもつながります。STEP3:跳ばずに「しゃがみ→腕振り」のフォームを固める
バク転は跳ばずに、「肩の高さに腕→しゃがみながら腕を下ろす→腕を頭より後ろまで振り上げる」の動きだけを繰り返します。膝がつま先より前に出ていないか、重心が後ろに乗っているかを、横から鏡や動画で確認しながら行いましょう。ここが崩れていると、その後のすべてがうまくいきません。STEP4:補助ありで後ろに跳ぶ
補助者に腰と膝裏を支えてもらい、STEP3のフォームからマットに向かって後ろに跳びます。最初は手をつくところまで補助者に持ち上げてもらって構いません。「斜め上に跳ぶ」「腕を後ろまで振る」「手をつく位置を見る」の3点だけを意識し、回転の軌道を体に覚えさせます。STEP5:補助を減らして通しで行う
STEP4で安定してきたら、補助者の支えを少しずつ軽くしていきます。最後は補助者が手を添えるだけの状態で回れるようになれば、ほぼ完成です。ここまで来ても、慣れるまでは必ず補助者に見てもらいながら行ってください。【保護者・補助者向け】バク転の教え方・補助のコツ
お子さんの練習を見る保護者の方や、友人に頼まれて補助をする方向けに、補助の基本を紹介します。補助が正しくできていないと、練習者だけでなく補助者もけがをする恐れがあります。補助者の立ち位置と手の位置
補助者は練習者の横に立ち、片手を腰(背中の下あたり)、もう一方の手を太ももの裏に添えます。練習者が跳んだら腰の手で回転を助け、太もも裏の手で足を回します。練習者が倒立姿勢を通過するまでは、腰と膝裏から手を離さないようにしてください。体の大きい子・大人を補助する場合
体重を片手で支えるのが難しい場合は、補助者が練習者と背中合わせに立ち、練習者の腕を引き上げながら回転を助ける方法もあります。ただし、大人を1人で補助するのは負担が大きいため、経験者のいる環境での練習をおすすめします。声かけのポイント
「怖くない」「大丈夫」という励ましよりも、「腕を後ろまで振って」「マットを見て」など、動作を1つだけ指示する声かけのほうが効果的です。一度に複数のことを言うと混乱するため、1回の練習で意識するのは1点に絞りましょう。バク転に関するよくある質問
Q1.バク転を練習する際、どのような服装が適していますか?A.バク転の練習時は、動きやすく体にフィットしたウェアをご着用ください。特に、伸縮性のある半袖・半ズボンなど、動作を妨げない服装が理想的です。また、ネックレスやピアスなどのアクセサリーは、けがの原因となる可能性がございますので、外していただくようお願いいたします。
Q2.バク転の練習中にけがをしないためには、どのような準備が必要ですか?
A.けがを防ぐためには、事前に十分な準備体操を行い、体を温めておくことが重要です。また、練習の初期段階では、必ず補助者をつけていただき、安全面に配慮しながら練習を進めるようご注意ください。
Q3.バク転は何歳から練習できますか?
A.筋力や体の使い方が育ってくる年長〜小学生頃から段階練習を始めるお子さんが多いです。ただし、年齢よりも「ブリッジと壁倒立ができるか」が目安になります。ジムオルソのアクロバットクラスでは年長から受け入れており、まずはブリッジ・倒立などの基礎から進めていきます。
まとめ
バク転は体を大きく使う技であるため、けがするリスクもつきものです。バク転を成功させるためには、入念なストレッチや事前準備が欠かせません。そのうえで、次の7つのコツを意識しながら、段階を踏んで練習を進めましょう。1.膝をつま先より前に出さず、重心は後ろに
2.腕は頭より後ろまで、跳ぶ瞬間に合わせて振る
3.真後ろではなく斜め上に、遠く高く跳ぶ
4.顎を引きすぎず、目線は手をつく位置へ
5.手はハの字、肘を伸ばして肩でマットを押す
6.膝を伸ばしきり、背中を反らせる
7.足裏全体で、膝をクッションにして着地する
それでも「1人では怖い」「補助してくれる人がいない」という場合は、体操教室で指導員の補助のもと練習するのが最も安全で近道です。
また、基本的なやり方やコツを理解し、バク転に必要な技を習得していくことで成功率アップへとつなげられるのです。 バク転を成功させるために、体操教室への入会を考えている人もいるでしょう。アクロバットの花形であるバク転、ジムオルソのアクロバットクラスでは、より安全な環境のもと、一人一人の成長に合わせた指導により、決まった指導法や段階的に覚えるだけでなく、”出来そう”な時は、思い切って挑戦する指導を取り入れております。