本記事では、前宙でけがを防ぐための準備、うまくなるコツ、練習の手順を解説します。
「前宙」はどんな技?
前宙とは、前方宙返りのことを指します。助走をつけてジャンプし、空中で前方に1回転後に両足で着地するアクロバット技の1つです。
前宙で怪我を防ぐための準備
前宙は危険を伴う技のため、けがを防ぐための準備が欠かせません。ここでは、前宙で怪我を防ぐための準備を3つ解説します。
安全なスペースを確保する
前宙は、回転や着地に失敗すると、けがにつながる可能性があります。基本は両足で着地しますが、体全体や膝などで着地してしまうケースがあるのです。転倒した際の衝撃を和らげるために、必ずマットを敷いた安全なスペースで練習しましょう。
準備運動をする
けがを防ぐためには、前宙の前に入念な準備運動やストレッチが欠かせません。体が温まっていない状態では、筋肉や関節が硬いため怪我のリスクが高まります。
準備運動を実施することで、体が徐々に温まり、筋肉や関節が動きやすくなり、疲労もしにくくなります。
また、血流が増加すると、交感神経が優位になり集中力が高まるため、反応も速まり危険を避けやすくなるのです。
準備運動やストレッチにはこのような効果があるため、けがの防止に効果的です。
前宙の準備運動には、手首・足首の回し運動、膝を曲げ伸ばしする屈伸、足を伸ばす伸脚、両足でジャンプして膝を胸につける運動などを実施するとよいでしょう。
慣れるまでは大人の補助をつけて練習する
前宙は失敗すると、大きなけがにつながるおそれがあります。サポートに慣れている大人が、必ずそばで補助しましょう。
また、前宙に対して恐怖心を抱く子どももいます。大人がそばで補助することで、安心感が生まれます。
前宙は危険が伴う技のため、練習する際は必ず大人が補助するようにしましょう。

前宙がうまくなる3つのコツ
ここでは、前宙がうまくなるために重要なコツを「踏み切り」「回転」「着地」の3つのポイントに分けて解説します。踏み切り
軽く助走をつけた後に行う踏み切りのコツは、以下の通りです。- 助走の勢いを保ったまま片足で踏み切り、両足で着地してジャンプする
- 踏み切りと同時に両手を上にあげる
- 体をまっすぐ伸ばす
- 上に向かって跳ぶ
また、前宙は高さが足りないと着地がうまくできないため、高く跳ぶ必要があります。前に向いて跳ぶと高さが出ないため、上に向かって跳ぶことが重要なポイントです。
回転
回転する際のポイントは、膝を胸につけるように体を丸め、膝の下を両手で抱え込むことです。体が伸びている状態では、スムーズに回転できず、着地もうまくできません。
踏み切ったら、勢いよく両手と頭、上半身を下に下げ、お尻を上へ持ちあげます。そして、体を丸めて膝の下を両手で抱え込みましょう。
着地
着地のコツは、1回転が終わる直前の、胸が上にあがってきたタイミングで抱え込みを解除することです。抱え込みを解除したら、足を地面に向けて伸ばします。
腕は、着地の際に下から上に向かって伸ばすことで、バランスを保ちやすくなります。
抱え込んだままでは回転しすぎて、着地ができず危険です。
ただし、勢いよく抱え込みを解除すると、着地の際に膝が過剰に伸びてしまい、足に強い負担がかかり、けがにつながるおそれがあるため、注意が必要です。

前宙の練習方法
ここでは、前宙を上達させるための、段階的な練習方法を解説します。安全に配慮しながら、以下の練習を順番に行うことで、前宙の動きに近づけられます。
徐々に難易度をあげていきましょう。
ジャンプの練習
踏み切りの姿勢を身につけるため、壁を使ったジャンプの練習をしましょう。両腕を伸ばして上にあげた状態で、壁に向かって片足で踏み切り、両足で着地してジャンプします。
そして、できるだけ壁の高い場所にタッチしましょう。
その際、胸を丸めることを意識して行います。頭を下げると、壁にぶつかるため注意が必要です。
また、踏み切った後にお尻を持ちあげる動きを身につけるため、台を用いた練習も行いましょう。
台に両手をつき両足でジャンプして、お尻を速く・高く持ちあげます。
この練習も、胸を丸めることを意識して行います。最初は低い台を用いて実施しましょう。
前転
実際に前宙をする前に、まず前転をしっかり練習しましょう。体を丸める感覚を覚えることが大切です。前宙をしたときに、空中で回転する姿勢をイメージしながら行うとよいでしょう。
体をしっかりと丸めて抱え込み、タイミングよく抱え込みを解除することをイメージして行います。
飛び込み前転
前転に慣れたら、次に飛び込み前転の練習に進みましょう。飛び込み前転は、軽い助走をつけて踏み切り、ジャンプした後に前転する技です。慣れていないうちは、大きくジャンプすると頭から落ちるおそれがあるため注意が必要です。
最初は助走なしで、普段の前転と比べて、少し遠くに手をついて前転するとよいでしょう。慣れてきたら、徐々に軽い助走を取り入れて前転に慣れていきます。
前宙の怖さを和らげるために、飛び込み前転に怖さがなくなるまで練習しましょう。
マットに背落ち
マットに背落ちする練習では、これまでの練習と比べて前宙に近い動きを身につけられます。まずは、柔らかいマットを重ねて準備します。そして、次の手順で練習を進め、徐々に回転力をあげて、前宙に近づけていきましょう。
ただし、飛び込み前転と比べて、助走や踏み切りに十分な勢いをつける必要があります。飛び込み前転と同じ勢いではうまくできないため、注意が必要です。
それぞれの練習ができるようになったら、次の練習へ進みましょう。
- 高さのあるマットに向かって助走をつけて踏み切り、手をつかずに空中で前転してマットの上に背中で着地する
- 高さのあるマットに向かって助走をつけて踏み切り、手をつかずに空中で前転してマットの上にお尻で着地する
- 高さのあるマットに向かって助走をつけて踏み切り、手をつかずに空中で前転してマットの上に足で着地する
- マットを重ねたものを外した状態で前宙して床に着地する(床に敷いたマットの上で行う)
このように、段階的に練習して、徐々に前宙の動きに近づけていきます。
前宙は、それぞれの動きやタイミングをつかめるまで、繰り返し練習することが大切です。
前宙に関するよくある質問
Q1.前宙(前方宙返り)を安全に練習するには何が必要ですか?
A. マットを敷いた安全なスペースで行い、準備運動やストレッチで体を温めてから練習しましょう。慣れるまでは大人や指導者の補助をつけることが安全に練習するためのポイントです。
Q2.前宙を成功させるコツは何ですか?
A. 3つのコツが重要です。Q3.初心者はどの順番で前宙を練習すればいいですか?
A. まずジャンプ練習で踏み切りを覚え、前転・飛び込み前転を練習して体を丸める感覚を養います。次に、マットに背落ちする練習で空中回転に慣れ、最後に段階的にマットの高さを下げながら実際の前宙へと近づけていきます。
まとめ
前宙とは、前方宙返りとも呼ばれるアクロバット技の1つです。助走をつけてジャンプし、空中で前方に1回転後、両足で着地します。
前宙には危険が伴うため、安全への配慮は非常に重要です。
安全な環境を整え、準備運動やストレッチを入念に実施し、大人の補助をつけて練習することが大切です。
上達するためには、段階的に難易度をあげながら、前宙の動きに近づけていきましょう。
お子さまが前宙の練習を実施する際に、方法や安全面に対して不安がある場合は、専門の体操教室で学ぶことをおすすめします。
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