しかし、「うまく回れない」「途中で止まってしまう」「怖くて体が硬くなってしまう」など、苦手意識を持つお子さまも少なくありません。
本記事では、前転ができない主な原因や、上手に行うためのコツ、段階的な練習方法、そして安全に行うポイントまで詳しく解説します。
前転が苦手なお子さまや、上達をサポートしたい保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
前転とは?
前転は、マット運動の中でも最も基本的な回転動作です。あごを引いて背中を丸めながら、前方向に体を転がす動きで、全身のバランス感覚や柔軟性を高めることができます。
小学校の体育授業では低学年から取り組むことが多く、他のマット運動や体操技術の基礎となる重要な技です。
しかし、頭の位置や姿勢が正しくないとスムーズに回れず、恐怖心を感じる子どもも多い技でもあります。
正しいやり方を理解し、段階的に練習することで、誰でも上達することができます。

前転がうまくできない主な原因
前転が苦手な子どもに多く見られるのは、体の使い方や姿勢に関する3つのポイントです。原因を理解することで、効果的な改善方法が見つかります。
頭や手をつく位置が正しくない
手を遠くにつきすぎると、体が持ち上がらず回転の勢いが足りなくなります。手をつく位置が遠いと、体重を支えにくくなり、スムーズな回転ができません。
つま先の近くに手をつくことで、自然な体の丸みが作れます。
また、頭をつく位置も重要で、頭のてっぺんではなく後頭部をマットにつけることがポイントです。
正しい位置がわからない場合は、最初に目印をつけて練習すると効果的です。
体を丸められず勢いが足りない
背中がまっすぐのままだと、体が転がらず途中で止まってしまいます。前転を滑らかに行うには、背中をしっかりと丸めることが必要です。
あごを引き、おへそを見るようにして背中を丸めましょう。
体を丸める感覚がつかめていないと、回転の勢いが足りず、途中で止まったり起き上がれなくなったりします。
「ボールのように小さく丸くなる」イメージを持つと、お子さまにも伝わりやすくなります。
恐怖心で体が硬くなってしまう
回転への怖さで体がこわばると、自然な流れで動けません。頭を下にする姿勢や、回転する感覚に対して恐怖心を持つお子さまは少なくありません。
怖さを感じると体が緊張し、スムーズな動きができなくなります。
最初は坂や補助を使って、安心して「転がる感覚」を覚えることが大切です。
恐怖心を和らげるためには、安全な環境を整え、段階的に練習を進めることが重要です。
前転を上手に行うためのコツ
スムーズに前転するためには、姿勢やタイミングなど、細かい体の使い方がポイントになります。ここでは、上達のための4つのコツを紹介します。
あごを引いておへそを見る
顔を上げると首に負担がかかり、回転が止まりやすくなります。あごを軽く引き、おへそを見ながら背中を丸めることで、自然に体が転がります。
この姿勢により、首への負担も軽減され、安全に前転ができます。
「おへそを見る」という声掛けは、お子さまにもわかりやすく効果的です。
視線を意識するだけで、姿勢が大きく改善されることがあります。
背中を丸めて順に体をマットにつける
頭の後ろ・背中・腰・お尻の順番でマットにつくように意識します。背中を均等に使うと、痛みも少なく滑らかに転がれます。
順番がバラバラになると、体を強く打ちつけてしまったり、回転が途中で止まったりします。
ゆっくりとした動作で練習しながら、正しい順番を体で覚えていくことが大切です。
最初は大人が順番を声に出して伝えてあげると、お子さまも理解しやすくなります。
手の位置をつま先の近くにつけて支える
手を遠くに伸ばすのではなく、足元に近づけることで前への重心移動がスムーズになります。つま先の近くに手をつくことで、体を丸めやすくなり、安定した姿勢を保つことができます。
手で「押す」力を意識すると、安定した回転ができます。
慣れるまでは、手をつく位置に印やテープなどで目印をつけておくと効果的です。
正しい位置を繰り返し練習することで、自然と体が覚えていきます。
勢いをコントロールして滑らかに回る
勢いが強すぎるとバランスを崩し、弱すぎると途中で止まってしまいます。手と足のタイミングを合わせ、一定のスピードで回ることを意識しましょう。
適度な勢いを身につけるには、繰り返し練習して感覚をつかむことが大切です。
最初はゆっくりとした動作から始め、徐々にスピードを上げていくとよいでしょう。
焦らず、お子さまのペースに合わせて練習を進めてください。

段階的な練習方法
前転を上達させるには、段階を踏んで少しずつ体の動きを身につけることが大切です。ここでは、スムーズに回れるようになるための3つのステップを紹介します。
① ゆりかご運動で背中を丸める感覚を身につける
仰向けでひざを抱え、背中を丸めて前後に揺れる練習をします。背中で「転がる感覚」を覚えることが、前転の第一歩です。
ゆりかご運動は、前転の基本となる体を丸める感覚を自然に身につけられる効果的な練習方法です。
恐怖心も少ないため、お子さまが楽しみながら取り組めます。
この動作を繰り返すことで、背中全体を使って転がる感覚が自然と身についていきます。
② 斜面で手をつきながら体を前に転がす練習をする
傾斜のあるマットや坂を使い、体を自然に前に転がす練習をします。斜面を使うと重力が助けになり、恐怖心を減らして正しいフォームを覚えられます。
マットを重ねて傾斜を作ったり、傾斜のあるマットを使用したりすることで、回転の感覚をつかみやすくなります。
この段階で、手をつく位置や頭の位置も意識しながら練習しましょう。
③ 手で押して体を転がし、かかとを引き寄せて立ち上がる
手でマットを押しながら背中を丸め、体を転がします。最後にかかとをお尻の近くに引き寄せ、両手を前に出して立ち上がりましょう。
勢いではなく、体全体を使って回るのがコツです。
この段階では、平らなマットで練習を行い、大人の補助を少しずつ減らしていきます。
自分の力で回転できたときの達成感は、お子さまの自信とやる気を大きく引き出します。
安全に前転を行うためのポイント
前転は正しいフォームを守れば安全な運動ですが、環境や体調によってはケガのリスクもあります。以下の点に気をつけましょう。
マットや周囲の確認をする
マットを二重に敷く、周囲の障害物をなくすなど、安心して練習できるスペースを確保します。硬い床で練習すると、頭や背中を打ったときに痛みを感じたり、怪我をしたりするリスクがあります。
やわらかいマットや布団を使用し、周囲に家具や物がないことを確認してから練習を始めましょう。
安全な環境が整っていることで、お子さまも安心して練習に集中できます。
短時間で区切って休憩をとる
繰り返し練習すると首や背中に負担がかかります。10〜15分を目安に休憩を入れましょう。
長時間続けて練習すると、疲れて集中力が低下し、怪我のリスクが高まります。
また、疲れた状態では正しい動作ができず、上達も遅くなります。
短時間で区切って休憩をとり、お子さまの体調や様子を見ながら進めることが大切です。
無理をせず、お子さまのペースに合わせて練習しましょう。
大人の補助や見守りをつける
子どもが一人で練習すると、フォームが崩れて転倒するリスクがあります。手を添えて補助する、近くで見守るなどのサポートをしましょう。
とくに小さいお子さまや始めたてのうちは、正しい動作ができているか確認したり、必要に応じて体を支えたりすることが重要です。
また、大人がそばにいることで、お子さまも安心して練習に取り組むことができます。
前転に関するよくある質問
Q1.前転の途中で止まってしまうのはなぜですか?
A. 途中で止まる原因の多くは、背中を丸められていないことや勢い不足にあります。背中がまっすぐなままだと転がる力が伝わりにくく、途中で止まってしまいます。
「おへそを見るようにあごを引く」「ボールのように体を丸める」ことを意識すると、自然に回転できるようになります。
Q2.前転が怖くて体が固まってしまいます。どうすれば克服できますか?
A. 恐怖心を和らげるには、安全な環境と段階的な練習が大切です。まずは坂道や傾斜マットを使って「転がる感覚」をつかみましょう。
大人が近くで補助しながら行うと安心感が増し、自然に体が動かせるようになります。少しずつ自分のペースで慣れていくことがポイントです。
Q3.家でもできる前転の練習方法はありますか?
A. はい、あります。おすすめは「ゆりかご運動」です。仰向けでひざを抱えて前後にゆらゆら揺れることで、背中で転がる感覚を身につけられます。
この練習を毎日少しずつ行うと、前転時に背中を丸める感覚が自然に体に染み込み、スムーズに回れるようになります。
まとめ
前転は、マット運動の基本となる重要な技です。うまくできない原因には、頭や手をつく位置のミス、体を丸められないこと、恐怖心で体が硬くなることなどがあります。
上手に行うためには、あごを引いておへそを見る、背中を丸めて順番に体をつける、手の位置をつま先の近くにする、勢いをコントロールするなどのコツを意識しましょう。
また、ゆりかご運動から始めて段階的に練習を進めることで、無理なく上達できます。
安全に練習するためには、マットを敷いて安全な環境を整え、短時間で区切って休憩をとり、大人の補助や見守りをつけることが重要です。
焦らず、お子さまのペースに合わせて練習を進めてください。
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